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探究指導コラム

NOLTYスコラ 探究プログラム

中学校・高校の「探究」に関する記事をまとめています。

2022.04.06

PBL型授業 とは?SBL型との違いや主な流れ、導入のメリット・デメリット

教育業界で最近よく耳にする「アクティブラーニング」。その手法のひとつに「PBL型授業」があります。どのような授業のことを指すのでしょうか。PBL型授業のメリット・デメリットについてもご紹介します。

目次

PBL型授業の基礎知識

PBL型授業とは?

PBL型授業とは、学生が自ら課題を発見して解決する能力を養うための授業です。従来のように、教員が講義をして一方的に知識を教え、生徒がそれをノートに書いて覚える、といった受動的な学習方法とは異なるところがポイントです。「PBL」とは、「Project Based Learning」や「Problem Based Learning」などの略称で、「課題解決型学習」や「問題解決型学習」「プロジェクト型学習」などと訳されています。「Project Based Learning」では目的・目標などのテーマを設定した解決を、「Problem Based Learning」では把握されている問題の解決を目指すものとされています。

PBL型授業とSBL型授業の違いは?

SBLは 「Subject Based Learning」の略称で、「科目進行型学習」などと訳されており、従来の知識を詰め込んでいく暗記型の授業のことを指します。一方PBL型授業は、課題の解決に向けて、知識を応用していくための力を身に付ける授業といえます。受け身ではなく、生徒たちが能動的に学びに向かうことができるのが特徴です。

PBL型授業の種類

●チュートリアル型
チュートリアル型では、少人数のグループを作り問題の解決に向けて活動します。グループワークやディスカッションを用いながら進めるため、協働的な学びにすることができます。教員は生徒たちの様子を見ながら、チューターとなって適切な助言を行うことが求められます。教室内だけで完結できるため、学校では一般的に多く用いられる手法です。

・実践体験型
実践体験型とは、テーマを設定し、その課題を実践に即した形で解決に向けて行う授業です。例えば、テーマを「地元商店街を活性化する」と定め、商店街の方にも協力いただきながら解決策を見つけ出し実践する、などです。実践体験型では実践の場が必要となるため、民間企業や自治体との連携が必要になり、先生方の授業準備は大変です。しかし実践的な学びになるため、生徒が楽しんで取り組みやすく、効果は大きい学習方法といえます。

PBL型授業の主な流れ

PBL型授業を取り入れやすいのが、高等学校では「総合的な探究の時間」、中学校・小学校では「総合的な学習の時間」です。PBL型授業の進め方は、「総合的な探究の時間」における基本的なプロセスに則るのがおすすめです。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 総合的な探究の時間編」
https://www.mext.go.jp/content/1407196_21_1_1_2.pdf

STEP1:課題の設定

教員があらかじめ設定するか、学生たちが自ら見つけ出すかして、課題を設定します。チュートリアル型の場合は、「SDGs・社会課題」「地域活性化」など大枠を提示し、その中から生徒の興味に合わせて課題を選ぶ形にすると、課題が設定しやすくなります。実践体験型の場合、現場で体験してから課題を探すケースと、事前に課題を決めてから現場に向かうケースがあります。

STEP2:情報収集

自ら立てた問いに対しての答えに近づくための情報を収集します。先生方は答えを示すのではなく、調べ方のアドバイスをすることが大切です。書籍やインターネットでの調べ学習に加え、インタビューやアンケートといった選択肢もあります。先生方からは生徒に「こういう本を読むといいよ」「こういう調べ方もあるよ」などといった声かけをするとよいでしょう。情報収集のステップは個人ワークとし、個人が考えを深める時間とするのがおすすめです。

STEP3:グループ内での討論

収集した情報や各々が立てた仮説をもとに、問題解決に向けてグループディスカッションを実施します。ここでは偏った情報だけに注目しないこと、自分と異なる意見を持つ人の視点に立ってディスカッションを重ねることが重要です。

STEP4:自主学習

グループ内で出た課題について再度情報収集や仮説立てを行います。

STEP5:新たな知識をグループ内で共有・整理

自己学習で得た知識を再度グループで持ち寄り、共有・整理を行います。

STEP6:まとめ・発表

最後にこれまでのまとめ・成果発表を行います。発表会には、取り組んだ課題に関わる社会人なども招いてフィードバックをもらえると、より深い学びにすることができます。

PBL型授業のメリット・デメリット

●メリット

●論理的思考力の養成につながる
PBL型授業では答えのない課題と向き合うため、どのように解決するのかを思考する癖が付きやすくなります。社会に出てから応用できる能力を身に付けられます。

●ミュニケーション能力、表現力を向上させやすい
PBL型授業ではグループなどで協働することが多くなるため、相手に自分の考えを伝えるためのコミュニケーション能力や表現力が磨かれます。また、最後にまとめ・表現の発表を行うため、プレゼンテーションスキルも向上します。

●情報リテラシーを身に付けやすい
情報収集にあたり、「正しい情報なのか」「どのようなメディアから情報を収集すべきか」といった点を考える癖がつきます。

●知識を定着させやすくなる
授業で習った知識を課題解決のために活用することで、知識がさらに定着します。

●自主的に学習するようになりやすい
生徒が自分なりに問いを立てて、課題解決に向け主体的に取り組むことが、学習意欲や自己肯定感、知的好奇心の高まりにつながります。普段教科において学習している内容と実社会の繋がりも感じることができ、学習姿勢・意欲に大きな貢献が期待できます。

●キャリア教育につながる
社会課題の解決に取り組むことで、将来この問題に対しどう自分が取り組むかを考えることができます。実践体験型の場合は社会人との関わりが多くなるため、働くイメージがつきやすいというメリットもあります。

デメリット

●先生の指導が大変
PBL型授業では教師が適切なチューター役をこなせないと、学生の自主的な学習を促しにくくなるという特徴があります。先生のスキルにより、学生の学習の質に差が出やすいのがPBL型授業のデメリットと言えます。

●学習効果の予測が難しい
PBL型授業では、学習効果や生徒の反応がどういったものになるのか予測がつきにくいです。最初から完璧を目指すのではなく、生徒の反応を見ながら進め方を変えていくのがよいのではないでしょうか。

(まとめ)PBL型授業とは?SBL型との違いや主な流れ、導入のメリット・デメリット

PBL型授業とはアクティブラーニングの手法の1つであり、学生が自ら課題を発見して解決する能力を養うための授業です。PBL型授業にはチュートリアル型、実践体験型といった種類がありますが、高校で2022年から本格的に開始される「総合的な探究の時間」の基本的なプロセスに則るのがおすすめです。PBL型授業では先生の準備や指導が大変といったデメリットもありますが、社会で役立つ力の育成において大きな効果があります。「総合的な学習の時間」や「総合的な探究の時間」において取り入れていくのがおすすめです。

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