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探究指導コラム

NOLTYスコラ 探究プログラム

中学校・高校の「探究」に関する記事をまとめています。

2022.04.06

総合的な探究の時間の評価はなぜ難しい?適正な評価方法と注意点

高校で2022年度から本格的に開始する「総合的な探究の時間」。ペーパーテストの点数で評価付けができる他科目と違い、評価が難しいと言われています。総合的な探究の時間における適切な評価方法と、注意点についてご紹介します。

目次

総合的な探究の時間の評価が難しい理由

数値的な評価が難しい

総合的な探究の時間は、生徒が設定したテーマに対しての答えに向けての探究活動の時間です。普通教科のようなテストがないため、数値で判断できないのが評価が難しいポイントです。学生の個々の評価がしづらく、評価の仕方は教師の判断に委ねられてしまいやすいです。

評価の基準が明確に定められていない

学習指導要領によれば、総合的な探究の時間の目標は「知識及び技能」、「思考力、判断力、表現力等」、「学びに向かう力、人間性等」の3つの柱で構成されていますが、どのように評価すべきなのかが具体的に定められているわけではありません。そのため、先生によって評価が偏ってしまうおそれがあります。

十分な時間が確保できず成果が出しづらい

限られた授業時間の中で、探究活動において成果を出すことは非常に困難です。そのため、生徒の成果物から評価をつけようとすると差がつけにくく、評価が難しくなります。

総合的な探究の時間を適正に評価する方法

評価の基準を定めておく

総合的な探究の時間の目標である「知識及び技能」、「思考力、判断力、表現力等」、「学びに向かう力、人間性等」の3つに分けて、最初に学校ごとに評価の観点を定めておくと良いでしょう。たとえば探究学習を行うことで「スキルを習得する」「見聞を広げる」など、評価の基準を設けておくなどです。スキル習得が評価対象であれば、プレゼンテーション能力や問題解決能力が習得できたと判断できる場合に評価することができます。また、見聞が広がったことを評価対象とするなら、何を新たに学んだかという内容や、学習のプロセスなどがしっかりしていれば評価することができます。

評価の方法を定めておく

評価の対象となるものを決めておくと、先生間のばらつきが出にくくなります。

①ポートフォリオ:学生が探究活動の過程において、作った作品やレポートなどの成果物のことです。ワークシート形式の教材を使い、探究の学びの履歴を記録しておくと、後でどのように取り組んでいたかのふり返りがしやすくなります。先生方は、生徒ごとに授業中の取り組みの様子をメモしておくのもおすすめです。

②ルーブリック:調査の結果に対する達成度を評価する表です。ルーブリックがあると項目ごとの達成度を明確に測ることができるほか、評価方法を統一することができます。

③リフレクション:活動の振り返りを行うことです。生徒が探究活動を通し、何を学んだのかのふり返りから評価を決めるのもよいでしょう。

総合的な探究の時間を評価する際の注意点

教師間で評価のルールを統一する

先生によって評価の基準・方法が異なると、評価が偏る可能性があります。どのように評価するのか、学校/学年の中で統一したルールを作り、教師間で共通認識を持つ必要があります。周知しておけば、探究の指導経験が浅い先生も評価しやすくなります。

学校行事と混同した実践は行わない

学習指導要領においては「特別活動の学校行事を総合的な探究の時間として安易に流用して実施することを許容しているものではない」といった記載がありますが、先生方からは「総合的な探究の時間が行事の準備や突発的なイベントの時間として使われてしまう」というお声もよく耳にします。純粋な探究活動に使える時間を確保できないと、「総合的な探究の時間」としての評価も難しくなります。年間計画を立てる際、探究活動を行うための時間をゆとりを持って確保するのも大切なポイントです。

出典:文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 総合的な探究の時間編」
https://www.mext.go.jp/content/1407196_21_1_1_2.pdf

成果物より「いかに能力を伸ばすことができたか」を重視する

限られた探究活動の時間の中では、どんな成果を出すことができたかよりも、生徒が探究活動を通じ、いかに資質・能力を伸ばすことができたかという観点を重視すべきではないでしょうか。NOLTYスコラ 探究プログラムでは、ルーブリック評価を採用し、生徒の能力がどこまで伸びたかをレベル分けし可視化できるようにしました。ルーブリックはある程度評価の範囲を決める手法のため、評価のブレを少なくできる点、何をすれば評価が上がるのか(成長に繋がるのか)が分かりやすい点、各校の生徒の状況に合わせて内容を変更しやすい点がメリットとして挙げられます。評価の観点(範囲)は5段階と少し多めに設定し、生徒の様子を見て段階を減らすことができるようにしています。

(まとめ)総合的な探究の時間の評価はなぜ難しい?適正な評価方法と注意点

数値的な評価が難しく、成果物でも評価しづらい総合的な探究の時間では、生徒がいかに能力を伸ばすことができたかという観点から評価を行うのがおすすめです。評価にあたっては先生間のばらつきが出ないよう、最初に評価対象や基準を統一しておくとよいでしょう。

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株式会社NOLTYプランナーズ