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探究指導コラム

NOLTYスコラ 探究プログラム

中学校・高校の「探究」に関する記事をまとめています。

2021.11.17

探究×文化祭で学びをあそびに変える 神田女学園中学校高等学校インタビュー④ KANDA×姫竹祭×NOLTYスコラ 探究プログラム

2021年10月2日、従来通りの対面型で行われた神田女学園中学校高等学校の文化祭『姫竹祭』に伺いました。今年のテーマは「『学び』を『あそび』に変えよう~進め!好奇心~」。神田女学園中学校では今年、「NCL(ニコル)・プロジェクト」=総合的な探究の時間で身に付けた探究の手法を使い、コロナ禍で例年以上に限られた時間の中で文化祭の準備を行ってきました。どのようにして探究活動と文化祭を絡めていったのか、NCL(ニコル)・プロジェクトの旗振り役として活躍されてきた池田先生のお話とともに、文化祭当日の様子をリポートします。


「NCL(ニコル)・プロジェクト」の立ち上げからこれまでの池田先生のインタビューはこちら

 

教務企画室室長としてNCL(ニコル)・プロジェクト(総合的な探究の時間)を主導される池田 幸代先生



 NCL(ニコル)・プロジェクトの立ち上げから数年、今年は探究の手法を使いながら文化祭を行うことができました。

昨年までの文化祭では、各個人の探究活動の成果をポスターセッションとして発表していました。しかし4月、5月に自分の興味関心からテーマを決めて進めていくと、夏休みに話を聞きに行って、そこから本格的に研究がスタートするのに、10月の文化祭の発表では研究の途中経過しか発表できていませんでした。そうすると生徒自身のモチベーションも上がらず、部活動や委員会の仕事、クラスの展示もある中、文化祭でポスターセッションをするといつも教室がガラガラになってしまっていました。ポジティブで主体性な、探究活動のあるべき姿からはかけ離れていて、もっと生徒が生き生きと取り組めるようにしたいというのがこれまでの課題でした。


ニコルでせっかく色々な手法を使って探究活動をして、テーマを考えていろいろと調べて発表していたので、文化祭を使わない手はないなとずっと思っていました。今では全てのクラスで探究活動に取り組んでいて先生方も探究の手法を理解されていること、生徒も考える力が身に付いてきていること、コロナ禍で外での調査など充分な課外活動に取り組めなかったという状況もあり、「探究×文化祭」をやってみようということになりました。



探究ノートを使って、興味関心ワークを授業でやった後に、探究ノートの「〇〇にとって最も良い〇〇は何だろう」の問いを「文化祭来場者にとって最も良い『文化祭』とは何だろう」と設定し、中学1年生から中学3年生の学年混合でグループワークをしました。

その後にまずは各クラスに分かれて、いろいろな案を個人やグループで考えさせて、発表させました。その後に一番良いものに投票させて、クラスの出し物を決める、という風に進めていきました。文化祭のテーマを決めてそれで終わりではなく、その後、テーマで取り組む具体案を考えました。考えられるリスク、弱み、逆に強みはなんだろう、対策はどうやっていこうという、いわゆるSWOT分析を行いました。

昨年までのクラス展示は、特に目的もなくそれぞれのやりたいことをやっていました。しかし、今年は来てくれる人を想定して「何を伝えたい?何を目的にするの?」と問いかけ、生徒たちも立ち止まって考えるようになりました。例えばすごろくもただのすごろくではなく、本校を受験する小学生が来てくれた時に学校生活がイメージできるようなものを考えたり、遊びの空間でも学べる内容があるものを一生懸命に考えたりとクラスによっても様々です。


▲受験生に時間割や各教科の先生を楽しく紹介する展示。学校生活の一日の風景を動画に収めて放映しているクラスもありました。「受験生に神田女学園を知ってもらいたい」という狙いがしっかりと伝わってきます。


▲縁日をやっていたクラスのキャラクター当てクイズコーナー。「世代に関わらず誰でも楽しめるものを」という目的で企画したそう。今流行っているものだけではなく、様々な世代の人に馴染み深いキャラクターが出題されていて、展示の目的がクラスでしっかり共有されているのを感じました。


 

▲ハチをテーマにしたクイズを展示していたクラス。クイズに回答すると景品がもらえます。知らなかったことを楽しく学べる、まさに「学びをあそびに」の内容でした。


展示に関わる物品も今までは先生が購入していましたが、今年は予算も生徒に管理させるようにしました。何にいくらかかって、素材は何を使うのか、環境にも配慮するなど、自分たちで考えるようになって、文化祭の中身が深くなりました。


▲どのクラスもコンセプトに沿って教室を綺麗に装飾していましたが、予算内に収めるための工夫を随所に感じました。この大きな木の装飾は骨組みを体育館の備品で作ったそう。装飾づくりには文化祭後も使いまわせる素材を使うなど、サステナブルも意識しているそうです。


新型コロナウイルス感染拡大防止のため、当校でも夏休み明けはオンライン授業となり、生徒たちが登校しての文化祭準備は直前の1週間のみでした。それでもこうして各クラスがしっかりと展示を仕上げられたのは、やはり生徒一人ひとりが探究の手法を身に付けていて、主体的に動くことができたからだと思います。生徒が工夫できるようになったのが昨年の文化祭から大きく変わったところだと感じています。


▲縁日を行っていたクラスの入り口ではiPadで展示内容の説明動画を流していました。人員を減らし、非接触で感染リスクを軽減するための工夫をされているのが印象的でした。他のクラスでも「コロナ対策を意識して教室内の動線を考えた」とのことでした。

 

▲文化祭で学んだことを掲示しているクラスもありました。主体性を持って行動し、クラスメートと協働する探究活動を、文化祭を通じて生徒の皆さんが実践されたことが分かります。


文化祭後も「やって楽しかった」で終わらず、さらに学びを深められるように振り返りを行って今後の探究活動につなげていきたいと思います。


 


【編集後記】

何人かの生徒さんに展示の内容についてその場でいきなりお話を伺いましたが、どの生徒さんもしっかりと企画の意図や工夫した点をお話してくださり、一人ひとりが主体的に考え、取り組まれていると感じました。文化祭の来場者に何を伝えたいか、どう楽しんでもらうかを生徒の皆さんがとてもよく考えられていることが伝わってくる文化祭でした。

 


 

神田女学園中学校高等学校のホームページはこちら 

 

「4つのC」で品格ある個人の能力(コンピテンシー)育成を目指す 神田女学園中学校高等学校インタビュー①KANDA×NOLTYスコラ


探究活動で主体的に行動する力を育む 神田女学園中学校高等学校インタビュー②KANDA×NOLTYスコラ 探究プログラム


スコラ手帳で先を見通す力をつける 神田女学園中学校高等学校インタビュー③KANDA×NOLTYスコラ プログラム


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