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探究指導コラム

NOLTYスコラ 探究プログラム

中学校・高校の「探究」に関する記事をまとめています。

2020.03.16

【総合的な探究の時間(授業)】探究とは?探求や調べ学習との違いを解説します

学習指導要領の改訂により、2022年度から高校では新たな授業として「総合的な探究の時間」が始まります。
今回のコラムでは
・そもそも探究とはどのようなものなのか?
・「探究」と「探求」の違いは何か?
・総合的な学習の時間や研究、調べ学習とは何が違うのか?について整理してみたいと思います。

目次

①「探究」と「 探求」 の違い

「探求」とは、探し求めると書くように何かを探し求め手に入れようとすることです。一方で「探究」とは、探し究めると書くように何かを探しながら究めていくことになります。特に究めるという言葉は学問を究めたり、真相を究めるといった場合に使われる言葉です。上記のように「探求」と「探究」では目的が異なっています。

②「総合的な学習の時間」と「総合的な探究の時間」の違い

学習指導要領の総合的な探究の時間の解説P8には以下のような記載があります。 両者の違いは(中略)総合的な学習の時間は、課題を解決することで自己の生き方を考えていく学びであるのに対して、総合的な探究の時間は、自己の在り方生き方と一体的で不可分な課題を自ら発見し、解決していくような学びを展開していく。ということ。

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出典元:【総合的な探究の時間編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説

総合的な学習の時間が課題解決→自己の生き方の順であることに対し総合的な探究の時間はそれが同時であることが違いとしていえます。このあたりの記載を見ていくと、生徒自身が興味を持っていることと課題発見を結びつけて学んでいくことを狙っているように思われます。

③「研究」と「探究」の違い

◆研究の特徴

  • 何らかの仮説について詳しく調べたり深く考えて、結論を導くこと
  • 何かの成果を出すこと
  • より専門性が高く、多くの時間を割くこと
  • 専門性を持った他の人材から評価を受けること

◆総合的な探究の時間の特徴

  • 自己の在り方生き方を考えながら、物事の本質を探ったり見極めたりすること
  • 資質・能力育成が目的である
  • 年間35コマ~

とても似ている活動ですが、上記のような違いがあげられると思います。特に費やすことができる時間に大きな違いがあります。そのため総合的な探究の時間では研究成果を求めて出すような活動は難しいのではないかと想像されます。 また、学習指導要領にも総合的な探究の時間は資質・能力の育成と記載されていることからも、生徒により必要な資質・能力を考えた上で、探究の時間で何を実施するか考えていく方が上手くいくかもしれません。

④「調べ学習」と「探究」の違い

調べ学習の特徴は方法を調べる点にあります。それによって選択肢が増えていったり、考え方が深まっていき、自分なりの意見や考えを持つことに繋がります。探究との違いでいいますと、この自分なりの意見や考えを持つという部分や、自ら課題を発見するという部分がプロセスとして明確にあるかという点で少し曖昧な気もしますが、しっかり盛り込まれていれば探究との違いはそこまで感じません。

このように見ていくと調べ学習は探究の中にある一つのプロセスとも考えられます。調べ学習を探究の中にしっかりと盛り込んでいくことでより良い探究活動になるのではないでしょうか。

⑤結局、探究とは何か?

探究活動を学びの型(フレームワーク)を習得する機会として捉えると整理しやすいのではないでしょうか。生徒が自らの興味があることに対して深く学んでいく。その学び方や学びの経験が授業や進路、仕事の場面において汎用的・応用的に生かされていきます。そこを目的にすると成果の有無にはそこまでこだわらなくてもよくなるのではないでしょうか。

◆【総合的な探究の時間(授業)の課題を解決①】生徒はテーマ設定が苦手
◆総合的な探究の時間で生徒主体の環境を作るには?授業づくりの3つのポイント
◆【総合的な探究の時間(授業)の課題を解決④】評価方法が難しい

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